ダイバーに人気の高い魚の1つがクマノミ。イソギンチャクの中で気持ちよさそうに泳ぐ姿はとてもかわいらしいですよね。海の中でクマノミに会いたいからとCカードを取った方も多いのではないでしょうか。
今回はクマノミの生態や、日本で見られる6種類のクマノミについてご紹介しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
クマノミの暮らしぶり
クマノミは、実はスズメダイの仲間。ですが、他の種類のスズメダイと違って、体は細長くてオレンジ色で、イソギンチャクと一緒に暮らしています。
クマノミとイソギンチャクとの関係
クマノミはイソギンチャクの中で暮らす魚として有名ですよね。イソギンチャクは、刺胞毒と呼ばれる毒をもち、その毒を使って小魚を捕えて食べています。しかしクマノミの身体は特殊な粘液で覆われていて、イソギンチャクの毒が効きません。
クマノミは、毒のあるイソギンチャクの中に隠れることによって、大型の魚などから身を守っています。また、イソギンチャクは、クマノミの食べた餌のおこぼれを食べることで餌を容易に手に入れられます。
このようにお互いに利益があるので、クマノミとイソギンチャクは共生関係にあるのです。
また、1つのイソギンチャクの中に暮らすクマノミは、ファミリーと勘違いされることが多いですが、実は全く血縁関係のない他人同士なんですよ。
クマノミは性転換する魚
海水魚の中には性転換をする魚が多いですが、クマノミも性転換をします。
クマノミはイソギンチャクの中に複数の個体で暮らしていますが、その中で1番大きな個体がメスで、2番目に大きな個体がオスです。そしてそれより小さな個体は、性成熟していない個体になります。
そして、一緒に暮らすメスが死んでしまった場合は、オスがメスに性転換し、未成熟の個体の中で1番大きな個体がオスとなります。
もし生まれながらに性別が決まっていたら、1つのイソギンチャクに集まったクマノミのすべてが同じ性別という可能性がありますよね。そうすると繁殖できずに子孫を残せないので、性転換をして確実に子孫を残せるようになったと考えられているのです。
クマノミの産卵
クマノミは、春から初夏にかけて産卵する魚です。
産卵が近づいてくと、イソギンチャクのすぐ近くの岩肌をヒレや口を使ってきれいに掃除をし、卵を産み付けます。
その後は卵が孵化するまで、オスが口やヒレを使って新鮮な水を送り、一生懸命に卵のお世話をします。実はクマノミのオスはとってもイクメンなのです。
孵化までは約1週間かかります。産みたての卵はオレンジ色ですが、徐々に目が分かるようになり、孵化が近づくとしっかりと魚らしい姿に変わっていきます。
運がよいと、ダイビング中に卵の世話をしている姿が見ることもできますよ。クマノミは一生懸命卵を守っていますので、くれぐれも近づきすぎないようにしてくださいね!
日本の海で見られる6種類のクマノミ
日本の海で見られるクマノミは全部で6種類です。
主に沖縄などの暖かい海で暮らすものが多いですが、伊豆の海で見られる種類もいます。それぞれの特徴もご紹介しますので、クマノミを見分ける際の参考にしてみてくださいね。
クマノミ
学名:Amphiprion clarkia
英名:Yellowtail clownfish / Clark's anemonefish
千葉県以南の温かい海に生息する種類です。体長は最大で15cm程度と大きく、体に白い2本の白帯があるのが特徴です。小さなうちはオレンジ色が強いですが、成長と共に黒ずんでいきます。伊豆半島や紀伊半島でも通年見られるので、沖縄などに行かなくても見られるのが嬉しいですね。
カクレクマノミ
学名:Amphiprion ocellaris
英名:Clownfish
奄美諸島より南の熱帯、亜熱帯地方に生息しています。
体長は5〜7㎝程度とやや小型で、体に白いラインが3本入るのが特徴です。
映画「ファインディング・ニモ」のモデルになった種類で、可愛らしい見た目で人気があります。
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ハマクマノミ
学名:Amphiprion frenatus
英名:Tomato clownfish
奄美諸島より南の海に生息しています。
幼魚のときは白い帯が2〜3本ありますが、成長とともに消失し、1本だけになります。また小さなうちは鮮やかなオレンジ色をしていますが、成長とともにくすんだ体色に変化します。
クマノミの中では特に気が強く、近づきすぎると噛み付いてくることもあります。
セジロクマノミ
学名:Amphiprion sandaracinos
英名:Whitebacked anemonefish
日本では奄美大島よりより南の海に生息しています。
名前の通り、背中に白いラインが入っているのが特徴で、他のクマノミと比べて区別がつきやすいです。
ハナビラクマノミにも背中に線がありますが、ハナビラクマノミより体の色がはっきりしたオレンジ色。
大きくなると12~14㎝ほどになるものの、臆病な性格で、近づくとイソギンチャクの奥に隠れてしまいます。
観察する場合は遠目からゆっくり近づきましょう。
ハナビラクマノミ
学名:Amphiprion perideraion
英名:Pink anemonefish
奄美大島以南に生息する種類です。
背中と鰓の近くに白くて細いラインがあります。体色もピンク色に近く、他の種類とも区別がしやすいです。
体長は10cmほどで大人しい性格です。共生しているシライトイソギンチャクの周りを泳ぐ姿はまさに花びらが舞っているかのようですよ。
トウアカクマノミ
学名:Amphiprion polymnus
英名:Saddleback clownfish
琉球諸島より南の海に生息しています。
他のクマノミと違い、砂泥帯に生息するイボハタゴイソギンチャクに共生しているので、ダイビングポイントで出会うことはやや少ないです。
名前の通り、頭部に赤みがかり、体には太くて白いラインが2本あります。また、上から見ると白い模様がハート形に見えることから、隠れた人気者です。
クマノミに会いに行こう!
クマノミは可愛いのはもちろん、性転換したり卵の世話をしたりととても興味深い魚です。穏やかなダイビングポイントでも見られ、イソギンチャクから離れることもないので、初心者の方でも観察しやすいのも嬉しいですよね。
これを機会に、ぜひクマノミに会いに海に潜りに行ってみてください!
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