「海のギャング」と呼ばれるウツボ。ダイビング中にもよく見かけますよね。茶色~黒色の長い体を岩陰に隠して顔だけ出して、大きな口を開けて牙を向けてくる姿に怖気づいてしまった人もいるのではないでしょうか。
そんなウツボは、実際どんな生態をしているのでしょう。ダイビング中によく見かけるウツボの代表的な種類と合わせてご紹介していきますのでぜひチェックしてみてくださいね。
ウツボは実はウナギの仲間!?
ウツボはウナギ目ウツボ科に属する魚で、日本では約40種類、世界中では約200種類ほど知られています。ウナギの仲間と聞くと驚く方がいるかもしれませんが、同じようにニョロニョロとした姿を見れば納得できますよね。
小さな種類では30cmほどですが、大きなものでは2mを越す種類までいます。大きな個体では、成人男性の太ももくらいの太さになるので、近くでみるととても迫力がありますよ。
穴に隠れて顔だけ出している姿しか見ないのは夜行性だから
ウツボは岩礁域やテトラポットなどの複雑に入り組んだ地形を好みます。日中は全身が入る穴に隠れ、顔だけを出してあたりを伺っていることが多いですが、夜になると、餌を探してあたりを泳ぎます。もし、ダイビング中にウツボが泳いでいる姿を見られたら、とても貴重ですよ。
ウツボは何を食べている?
ウツボは、甲殻類や頭足類といった小型の底生生物を捕食します。特にタコが大好物で、多少大きな個体でも、大きな口と鋭い歯を使って捕まえます。顎の力も強いので、一度捕まってしまった生き物は逃げられません。
ただ、動きが素早い小さな魚を食べるのは苦手です。それを分かっているのか、ウツボの周りにはスズメダイなどの小魚が集まっていることがよくあります。
ウツボは食物連鎖のトップ!?
ウツボは他の生き物を食べますが、反対にウツボを食べる生き物はほとんどいません。そのため、棲み処である岩礁域やテトラポットの食物連鎖のトップに立つとされています。
見た目はきれいじゃないけど”きれい好き”
ウツボの周りではオトヒメエビやヨウジウオ、ホンソメワケベラを見かけることが多いです。
これらの生き物は、「クリーナーシュリンプ」や「クリーナーフィッシュ」と呼ばれ、ウツボの身体や口の中の寄生虫を取り除いてくれます。そのため、目の前にいても食べずに、共生をしているのです。
大きな口を開けて、オトヒメエビにクリーニングしてもらっている不思議な姿は、ぜひとも見たい光景。
ウツボは危険な魚?
ウツボは「海のギャング」の別名から、危険な生き物と思われがちです。大きな口を開けてこちらを見てくる姿は、いかにも威嚇しているようで怖く見えます。
しかし、ほとんどのウツボは臆病で、近づくと巣穴の奥に隠れてしまうことが多いです。適度な距離で観察し、こちらから危害を加えなければ、襲ってくることはまずありませんので安心してください。
ただし、何かの拍子に噛まれてしまうと、鋭い歯と顎の力で大けがをする恐れがあるので注意が必要です。特に水中で餌付けをしていると、匂いに興奮したウツボが見境なく噛みついてくる場合があるので気を付けましょう。
日本の暖かい海で見られるウツボ4種をご紹介
日本には約40種類のウツボが生息していますが、ダイビング中に出会える種類はそれほど多くはありません。
暖かい海で見かけることの多いウツボの種類をご紹介します。水中でウツボの観察をするときの参考にしてみてくださいね。
ハナヒゲウツボ 会えると嬉しい!! メタリックブルーの細めのウツボ
学名:Rhinomuraena quaesita
英名:Ribbon eel
ハナヒゲウツボは、名前の通り花のようなヒゲを持つウツボです。岩陰から口を開けて辺りを見渡す姿はウツボそのものですが、身体が細く、どこか弱そうな見た目をしています。この細い身体がリボンのように見えることから、「リボンイール」とも呼ばれます。
性転換をする魚として有名で、小さな頃は黒色、成熟してオスになると青色、性転換してメスになると黄色になります。
サビウツボ 茶色い体に白い目が印象的な小さめのウツボ
学名:Gymnothorax thyrsoideus
英名:white-eyed moray / greyface moray eel
サビウツボは茶褐色の身体に、小さな斑点模様が入ります。大きくなっても40~50cmほどと、小型の種類です。白目が大きく、黒目もパッチリとしていて、どこか可愛いらしい顔をしているので、女性に人気もあります。
浅いところにも多く、初心者ダイバーの方にも観察のしやすいウツボです。
ニセゴイシウツボ 白い体に黒い点が碁石模様?
美ら海生き物図鑑 より引用
学名:Gymnothorax isingteena
英名:Spotted moray eel
名前の通り、白い身体に、黒い斑点が入るウツボです。最大で2mを超えることもあり、日本に生息しているウツボの中では一番大きくなります。砂地にポツンとある岩場やサンゴの影に隠れていることが多いです。
人に良く馴れ、近づくと顔を近づけてきたり、時には後ろをついて泳いできたりすることもあります。
ハナビラウツボ 茶褐色の体に白い水玉模様
学名:Gymnothorax chlorostigma
英名:White mouth moray / Turkey moray
ニセゴイシウツボとは反対の配色で、茶褐色の身体に細めの白い水玉模様のウツボで、口の中が白いのも特徴。
白い点を花びらに見立てたネーミングでしょうか。初心者の頃に混同していた名前。「ハナヒゲ」と「ハナビラ」がいて、ややこしいからご注意くださいね。
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怖がらずにウツボを観察してみよう
怖い見た目から避けられがちなウツボですが、決して怖がる必要のない魚です。じっくりと観察すれば、愛嬌のある姿や、面白い行動を見られるかもしれません。
特に、オトヒメエビやヨウジウオにクリーニングされている姿は見ていて飽きませんよ。次のダイビングでウツボを見かけたら、そっと近づいて観察してみてくださいね。
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