ダイバーの憧れの生物マンタ!! いつかは見てみたいと思う方が多いのではないでしょうか。
青い海をバックに優雅に泳ぐ姿は、ダイバーでなくても見とれてしまう光景です。
この記事では、マンタの生態や、マンタに出会えるダイビングポイントをご紹介します。出会う前にマンタのことを知っておくと、もっとダイビングが楽しくなりますよ。
マンタはエイの仲間だけど毒針が無くて安全
マンタはトビエイ目イトマキエイ科に属する大型のエイです。
その大きさと姿が「マント」に似ているのでマンタと名付けられていますが、顔の部分が糸を巻き付ける糸巻きに似ていることから、イトマキエイとも呼ばれています。
大きいものでは横幅最大8m、重さ3tにまで成長し、暖かい海の表層付近を回遊します。
ほかのエイの仲間に見られる危ない毒針は、マンタは持っていないので安全です。
顔の前、左右のヒレ(頭鰭)がかわいいのもマンタの特徴
マンタの特徴の一つが、頭の両端にある頭鰭(とうき)と呼ばれる鰭(ひれ)。餌を食べるのに利用していると考えられています。
この頭鰭は自在に動かすことができ、泳ぐときはくるくる巻き付けていますが、クリーニングを受けるときや餌を食べる時には伸ばしています。どちらの顔もかわいいよね。
大きな体のマンタの食事は小さなプランクトン?!
マンタは、大きな体に似合わず小さなプランクトンを食べる魚です。
同じようにプランクトンを食べるジンベイザメは、大量の水を吸い込むように口に入れてプランクトンを濾しとります。
それに対してマンタは口を広げながら遊泳し、口の中に水を流し込むようにしてプランクトンを濾しとり食べています。
プランクトンがたくさん群れている場所では、宙返りするようにクルクルと回りながら食事する光景も見られますよ。
魚類だけど卵ではなく子供を産む!?
マンタは英の仲間なので、魚類です。魚は卵を産んで繁殖しますが、マンタは子供を産みます。
なんていうとびっくりしますが、お母さんのお腹の中で卵が孵化して、そのまま1年くらいお腹の中で育ってから生まれる卵胎生です。お母さんのお腹の壁からは脂肪分を含んだ子宮ミルクが分泌されていて、赤ちゃんマンタは子宮ミルクを飲んで育っているそうです。
通常は1匹、まれに2匹、1m~2mになるまでお腹で育ててから出産します。
2007年6月16日、沖縄美ら海水族館で、世界で初めて水族館でマンタの出産が確認されたのは誇らしい話。生まれた直後から水槽を泳いでいて、他のメスのマンタが寄り添うように一緒におよいでいたって、飼育員さんから聞きました。
2種類のマンタ
マンタと呼ばれる魚は長い間「オニイトマキエイ」の1種類と考えられていました。
しかし最近の研究で、2種類存在することが分かり(2009年)、もう1種類は「ナンヨウマンタ」と名付けられました。
小型で沿岸性のナンヨウマンタ
![]() |
![]() |
英名:Reef manta ray
学名:Manta alfredi
ナンヨウマンタは沿岸性の小型のマンタで、大きくなっても5mを超えることはありません。
沖縄周辺のダイビングポイントで見られるマンタのほとんどはナンヨウマンタと考えられています。
見た目の特徴は、比較的白い部分が多くて小さめで、
下からお腹を見上げて、口の周りが白いことと、一番後ろのエラ孔の後ろ部分に黒い模様がないか、ほんの少しだけ。
上から背中を見下ろして、背中の白い模様が「ハ」の字型・・・白い模様の口側も後ろに向かって「ハ」の字型。
大型で外洋性のオニイトマキエイ
![]() |
![]() |
英名:Oceanic manta ray, Giant manta ray, Giant oceanic manta ray
学名:Manta birostris
オニイトマキエイは外洋性の大型のマンタで、成長すると最大で8mになります。
外洋性なので、海外のクルーズ船で外洋のポイントを潜ると、見られる可能性が高いです。
見た目の特徴は、大きいことに加えて、
下からお腹を見上げて、口の周りが黒いことと、一番後ろのエラ孔の後ろ部分が黒いこと。
上から背中を見下ろして、背中の白い模様の口側が口に平行。
国内で高確率でマンタに出会えるダイビングポイント
マンタの回遊ルートでも見ることはできますが、どうしても”運しだい”になってしまいます。
高確率でマンタを見たい!! 場合は、マンタのクリーニングステーションになっているダイビングポイントを選びましょう。
クリーニングステーションは、身体についた寄生虫を小魚に食べてもらう場所。緩やかに盛り上がった地形が多いです。
石垣島 マンタスクランブル
石垣島のマンタスクランブルは世界的に見ても高確率でマンタに出会えるポイントです。水深は10~20mほどで、水深が比較的浅いので初心者の方でも潜りやすいのが嬉しいですね。
クリーニングが始まると、次々とマンタが集まり、多い時には10個体以上が連なって見られることも!
マンタとの遭遇率が特に上がるのは8~11月頃ですが、後半は北風の影響でポイントに行けないこともあります。5~8月は海が穏やかな日が多いので、初心者の方にはおすすめです。
久米島 マンタステーション
マンタステーションは2018年に発見された新しいポイントで、1年間を通して高確率でマンタに出会える可能性が高いです。
マンタステーションの魅力は何といっても港からポイントまでの距離が近いことです。港からわずか5分で到着するので、船酔いしやすい方も安心して潜れます。
また、水深10m前後と浅く、流れが穏やかなことが多いので初心者の方も安心ですね。
また、マンタステーションではお腹が黒いブラックマンタに出会えることもあります。海外ではコンスタントにみられるポイントもありますが、国内で出会える確率が高いのはこのマンタステーションです。
西表島 中の瀬
西表島の中の瀬は、秋から春にかけてマンタが回遊してきていて、高確率で出会えるクリーニングステーションです。
中ノ瀬は西表島の南側にあるので、ボートで1時間くらいかかります。天候が荒れると出航もできなくなり、中級者~上級者向きのポイントとも言えます。
確実に潜りたい方は、ショップを予約するときに「中ノ瀬にマンタ身に行きたい」とリクエストしておきましょう。
他のマンタポイントでは、マンタを外すと何も・・・ということがありますが、中の瀬ではイソマグロなどの回遊魚もよく見られ、魚も多く、マンタがいなくても楽しめます。
また、世界最大級ともいわれる、3mを超えるアザミサンゴが見られるのも魅力の1つです。
西表島と小浜島の間 ヨナラ水道
ここはクリーニングステーションではなく、流れのあるチャネルですが、白い砂地の上を泳ぐマンタが見られます。多くのマンタが流れるマンタトレインも!!
いつも流れていて、強くなることもあり、水深30mなので、ドリフト、フリー潜降、エア持ちに自信のある方はチャレンジしてみてください。
マンタウォッチングの注意点
マンタがよく見られるダイビングポイントは、クリーニングしたり、求愛したりと、マンタ達にとってとても大切な場所。マンタにとって快適ではなくなると、その場所に来なくなってしまいます。
ダイバーが潜って壊してしまうなんて、絶対にあってはなりません。
それぞれのマンタポイントには独自のルールが設けられていますが、共通する注意点をご紹介します。
- 着底もしくはホバリングして観察する
- クリーニングステーションに乗らない
- マンタを追いかけない
- マンタに泡を当てない
マンタの回遊を待ったり観察するときは、その場の地形に合わせて着底するかホバリングしましょう。
クリーニングステーションの上に乗るのはNG。マンタが警戒して寄って来なくなります。
また、たとえ近くに来てくれなくても追いかけるのはご法度です。
反対に頭上に来てくれた場合は、吐いた泡を当てないように注意しましょう。息を止めるのはダイバーに危険なので、少しずつ息を吐くのでOK。
他にも各ポイント独自のルールがありますので、ブリーフィング時にしっかりと確認しましょう。
まとめ
ダイバーなら誰もが憧れるマンタ。
ダイビングポイントと時期を選べばかなりの高確率で出会うことができます。マンタに会うためのダイビング旅行を計画するのもいいですよね。
ご紹介したポイント以外でも意図せずマンタと出会うこともあります。そんな時に慌てず、余裕をもって楽しめるように、日ごろからダイビング技術を磨いておきましょう!