ゴールデンウイークの休暇に、オーストラリアのケアンズからデイトリップでグレートバリアリーフでダイビングをしました。
グレートバリアリーフはダイビングポイントも豊富で、初心者からベテランダイバーまで幅広く楽しめるのが魅力の一つ。シュノーケリングや体験ダイビングの人も同じボートに乗れるので、家族旅行の1日としてもおすすめできます。
映画「ファインディングニモ」の舞台になった場所。ニモをはじめモデルになった魚と一緒に泳ぐのも楽しみ。
生物の多様性でも知られているのでたくさんの魚に会える期待がある反面、サンゴの白化でも話題になっていたので不安もありました。
このような点も含め、実際に見てきたグレートバリアリーフの体験談をブログ記事としてご紹介します。
グレートバリアリーフは世界最大のサンゴ礁
グレートバリアリーフは、オーストラリアの北東海岸に広がる世界最大のサンゴ礁。
南緯10度から24度の間に2000kmもの長さで広がっていて、4,000種以上の魚と1,500種以上のサンゴが生息しています。
1981年にユネスコの世界自然遺産に登録され、保護と観光利用が行われています。
日本からグレートバリアリーフへの行き方
グレートバリアリーフのダイビングとして、日本から行きやすい都市はケアンズ。
ケアンズへは、東京と大阪から直行便の飛行機が飛んでいて、片道7時間半くらい。偏西風の影響がないので、往路と復路の所要時間はほぼ同じです。
- Virgin Australia航空(羽田発着)
- Jetstar航空(成田・関空発着)
- JAL(成田発着)
- ANA(羽田発着)
グレートバリアリーフダイビングのシーズン
グレートバリアリーフもケアンズも南半球にあるので、季節は日本とは逆です。
ケアンズの乾季は5月から11月頃、涼しい季節で最高気温は25~30℃、海水温は22~27℃くらい。
ケアンズの雨季は12月から4月頃、最高気温は30℃を超え、海水温は27~29℃くらいになります。
台風(サイクロン)が発生するくらいの緯度。発生したとしても発達していないので、風下に行けば安全にダイビングできます。沖縄みたいに暴風雨で足止め、みたいなことにはならないので、ご安心ください。
3月~7月は風が強くなる時期で、ダイビングの間など肌寒く感じるかもしれません。
海外で日本人ガイド確約のショップを探す方法
海外のダイビングで日本人ガイドを探すコツは、日本語で検索すること。「Cairns diving」のように英語で検索すると、外国人向けのショップしか見つかりません。
このため、Googleで「ケアンズ ダイビングショップ 日本人 ガイド」で検索。
日本人のダイビングインストラクターやガイドが在籍するショップが見つかった中で、「マスターリーフガイド」というオーストラリア政府公認のガイドが運営している「&Ocean」を選びました。
生物に詳しそうですし、生物に愛情をもって接してそうで、そんな人と一緒にダイビングしたいですよね。
日本人による完全プライベートガイドという点も魅力的。
「&Ocean」にダイビングを予約
ホームページの予約フォームに入力すると、返信のメールが届きました。
ダイビングする日を指定して、クレジットカードで支払して、予約完了です。
予約完了連絡とあわせて、当日の注意事項などを記載したホームページのリンクが届きます。
- ダイビングガイド費に器材レンタル料も含まれている(レンタル無料)
自分の器材を持って行って使うのはOK(別途メールで確認) - 送迎はできないので自力で集合場所に行くように
- 集合場所:ボートが停泊する港の前のシャングリラホテル
- 集合時間7時40分:複数ショップが利用する乗合ボートなので遅刻しないように
行こうと思ったら早めにガイドを予約した方が良さそう
2か月前の3月初旬にショップに問い合わせたところ、ゴールデンウイーク期間で空いていたのは5月4日だけでした。
コロナ以降、航空運賃が高くなり、円安も進んでいますが、ダイビングのお客さんは戻ってきているそうです。
せっかく行くなら3日くらいダイビングしたいですよね。行きたい!と思ったら、ショップやガイドは、早めに予約するのをおすすめします。
「&Ocean」のガイドとともに「アクアクエスト号」でダイビング
ダイビング当日の様子をレポートします。
集合場所はシャングリラホテルホテル前の港
ダイビング当日は現地集合、現地解散です。
水着の上に服を着て、徒歩で集合場所のシャングリラホテル(シャングリ・ラ ザ・マリーナ)に向かいます。ホテルの前は港。多くのダイビングボートが停泊しています。
ケアンズ発のダイビングは、どのショップもこの港から出航するそうです。観光客がよく宿泊するエリアから港までは、徒歩20分以内くらいです。
アクアクエスト号に乗船
今回乗船したのは「アクアクエスト号」、横揺れしにくい大型の双胴船です。
複数のショップが相乗りしていて、定員80人のところ、ゲストは約70人!
ほとんどがダイバーですが、シュノーケリングや体験ダイビングの人もいます。ダイバーではない家族や友人とも、一緒に楽しむことができそう!
乗船時には、ホットドリンクとマフィンやクッキーなどの軽食をいただきました。
ゲスト毎の番号で安全管理
乗船時に「あなたは**番です」とセーフティナンバーが告げられ、移動中の時間毎や、海から上がるたびに番号をチェックされます。
移動中に海に落ちてないことや、ダイビングやシュノーケリングポイントから船に戻っていることを確認してくれているので、安心です。
アクアクエスト号の設備
アクアクエスト号には次のような設備があります。
- ダイビングやシュノーケリングの器材が置かれていて、そのまま海に入れるダイビングデッキ
- ダイビングデッキの階と上の階に冷房の効いた部屋(寒い!)
- ダイビングデッキに、トイレが4カ所、個室のシャワーが2カ所
- ダイビングデッキにカメラ洗い用の水槽
日焼け止め(サンゴに配慮して紫外線吸収剤不使用)を置いてくれていて、自由に使うことができます。
オーストラリアは日焼けによる皮膚がんが社会問題となっており、その対策だそう。
器材のセッティングはショップ担当
アクアクエスト号のダイビングは、器材レンタル込みの料金。
器材のセッティングはショップのスタッフが行うことになっていて、セッティングが完了した状態で、ゲストが乗船します。
私はマイレギュレーターを持参していましたが、タンクへの取り付けはガイドが行いました。
ケアンズダイビングの注意事項
最初のダイビングポイントに移動している間、1時間くらいかけてブリーフィングがありました。
外人さんたちはアクアクエスト号のスタッフから英語のブリーフィング。
&Oceanのガイドはアクアクエスト号から日本語のブリーフィングの許可を得ているので、私たちだけのブリーフィングをしてもらえました。
注意事項はこんな感じ
- 海中の物には触れない
日本のダイビングは「岩につかまっていい」ことが多いですが、ケアンズは何にも触ってはいけません。 - グローブは使用禁止(肌が弱い、ケガをしているなどの事情がある場合は使用可)
- 着底禁止
サンゴの上はもちろん、砂や岩の海底にも着底は禁止です。 - 紫外線対策をする
- エキジット直後、スタッフに残圧とダイブタイムを申告(記録していました)
- 残圧50以下でエキジットするのは州法違反
ダイバー本人だけでなく、引率するガイドもゲストの残圧が50以下になると処罰を受けます。
船上での過ごし方のポイントは酔い止めの薬とフリースなどを羽織ること
ゴールデンウイークのオーストラリアは雨季の終わり。
「雨季としては普通の波の高さ」とのことですが、ボートの速度も速く、かなり揺れました。
酔いやすい人は酔い止めの薬が必須。船酔いしにくい方も、薬を持参することをおすすめします。
船内は除湿のために強く冷房しているので、信じられないくらい寒いです。
暖かい海ですが、船の冷房対策としてフリースなどの暖かいウェアを持参しましょう。
ダイビング中の貴重品の管理
ボートに鍵付きのロッカーはありません。
ダイビング代金は事前に支払っているので、現金やクレジットカードは携帯していませんでしたが、スマホは持参しています。
ダイビング中のスマホの管理方法については、ガイドさん曰く、
- 見える所に置いておいたら、盗まれるかもしれない。
- カバンの底に入れておけば、見つかるリスクをおかして盗む可能性は低い。
ケアンズダイビング一本目のノーマンリーフに到着
1時間半のクルーズで、最初のポイント「ノーマンリーフ」に到着です。
ノーマンリーフは、ケアンズから日帰りのデイトリップで行くことのできる最北端のポイント。
市街地から遠く、外洋にあるので、透明度が良いのがメリット。外洋から水が入ってくる潮目の時は、40mくらいの透視度も期待できます。
アクアクエスト号のエントリー方法
ダイビング・シュノーケリングポイントに着くと、ダイビングデッキの後ろにある広い横幅のパイプ階段が、海に下ろされます。
ダイビングデッキからジャイアントストライドエントリーしてもいいですし、階段を下りて行ったらふわりとグレートバリアリーフの海に浮くことができます。
魚の種類と量に驚くノーマンリーフ
水深 | 24.6m |
水温. | 27度 |
透明度 | 20m |
流れ | 岩の上はゆるい流れ、潜ると流れなし |
潜水時間 | 54分 |
エントリーしたら、7mの棚の上にはサンゴが広がっています。
その下の斜面にもサンゴが付いていて、サンゴの上も、サンゴのすき間も魚だらけ。棚の上
いろんな種類のスズメダイやハナダイ、小型のベラがひらひら舞っていて、時折チョウチョウウオやフォックスフェイスが泳いでゆきます。
そんな所にマダラハタやサラサハタがいて、エサを狙っています。
岩陰には、イエローデビルフィッシュとブルーデビルフィッシュも。グレートバリアリーフならではの魚を見られてうれしい!
頭にネオンブルーの輪が輝くローランドダムゼル、頭が黄色いタルボッツダムゼルもかわいくて印象に残っています。
中層にはユメウメイロや銀色の小魚が漂っていて穏やかな雰囲気。
映画「ファインディングニモ」に出てくる、ニモ(イースタンクラウンアネモネフィッシュ)、ドリー(ナンヨウハギ)、ギル(ツノダシ)、バブルズ(キイロハギ)にも会えましたよ。
こんなに多くの種類の魚が見られるということは、サンゴって魚の住処だということを実感。
サンゴが付いた岩と岩の間を泳いだり、トンネルをくぐったりと、地形ダイビングも楽しむことができました。
岩のすき間からのぞく海の青さは爽快ですよね。
エントリー直後の棚の上はゆるく流れていましたが、深い所に潜ると流れを感じることはありませんでした。
魚が多く楽しいので、初心者でも安心してダイビングできるポイントだと思いました。
大満足して浮上したら、最後にオマケ。ボートの下に10匹以上のGT(ロウニンアジ)が!
グレートバリアリーフということで、たくさんの魚に出会える!と、かなりハードルをあげて潜りましたが、期待を裏切らない種類と量の魚に出会えました。
ケアンズ方向に南下しサクソンリーフに到着
ほとんど隣くらいの位置ですが、船はサクソンリーフに移動しました。
サンゴ大復活のサクソンリーフで2本目のダイビング
水深 | 20.8m |
水温 | 27度 |
透明度 | 20m |
流れ | 一部ゆるく流れを感じる場所もあり |
潜水時間 | 53分 |
2本目のサクソンリーフは、サンゴが温暖化による白化から復活を遂げたポイントだそう。
潜ってみると、まさにその通り!ノーマンリーフがサンゴの丘なら、サクソンリーフはサンゴの大平原という感じでした。
テーブルサンゴの周りをカラフルな熱帯魚がひらひら舞っているなか、チョウチョウウオの幼魚がちょろちょろしていてかわいい!サンゴのすき間にいるハゼもかわいい!
ガイドが教えてくれたグレートバリアリーフブレニーは、かわいらし顔をしていますが地味な色のカエルウオ。
ウミガメのタイマイは、サンゴをがりがりかじっていました。
50cmを超えるオオシャコゴイは上向きに貝殻を開いて日光浴。蛍光色の青い点々模様がきれい。
サンゴエリアより下に潜ると、砂地でぴょこぴょこ横に動くカニハゼを発見。
ナポレオンフィッシュやナンヨウブダイ、沖合の中層を泳ぐサメのシルエットも見ました。
クマノミは次の4種を見ることができましたよ。
- イースタンクラウンアネモネフィッシュ(ニモ)
ニモのモデルはグレートバリアリーフのイースタンクラウンアネモネフィッシュ。
沖縄やフィリピンなどの太平洋にいるカクレクマノミに比べて、白線を取り巻く黒い縁取りが大きい。 - スパインチークアネモネフィッシュ
目の下にとげがあるのが特徴。他のクマノミより赤に近い色も特徴。上の写真です。 - バリアリーフアネモネフィッシュ(クマノミに似た二本線)
- ハナビラクマノミ
70名で同じポイントにダイビング!?
約70名で同じポイントに潜ると海の中が混雑しそうな不安はありましたが、他のグループを邪魔に感じることはなく、順番待ちすることもありませんでした。
グループそれぞれ、ダイビングスタイルが異なっていたのだと思います。
サメやギンガメアジ、バラクーダを見たいグループは沖合に出ますよね。外人はこのパターンが多いです。
サンゴ回りの生物を見る場合でも、サンゴに魚がまとわりついている範囲は広いので、他のグループとは離れるように、ガイドさんがコース取りしてくれていました。
シャワーを浴びて乾いた服に着替え
2本目のダイビングの後、デッキに用意されている水槽でカメラを洗います。
2つのシャワーを約70人が順番に使うので、待ち時間は約20分。半分くらいのゲストがシャワーを終えたタイミングで順番がまわってきました。
持参していたレギュレーターとマスクもいっしょに軽く塩気を流します。
シャワーブースは鍵のかかる個室なので、シャワーを浴びた後、乾いた服に着替ることができました。
ビュッフェスタイルのランチをいただきながらケアンズへのクルーズ
ケアンズの港に帰る間に、バイキング形式のランチをいただきました。
サラダにパン、ソーセージや鶏肉のトマト煮込みなどから、好きなものをチョイス。温かいスープもあって、体が温まります。
飲み物はポットが置いてあって常時飲むことができました。
ランチの後、図鑑を見ながらガイドさんと一緒にログ付けしていると、あっという間にケアンズ港に到着。
船が港に着いたら、その場で解散です。送迎は付いていないので、歩いてホテルに帰りました。
サンゴ白化に関するガイドの見解
地球温暖化が原因と言われているサンゴの白化ですが、コロナ期間でダイバーが減っている間に、サンゴは復活しているそうです。
実際、今回潜ったノーマンリーフとサクソンリーフは、白化していたとは思えないほど、サンゴが豊かに広がっていました。
コロナ期間も水温は高い状態のままだったのにサンゴが復活したので、サンゴの白化の原因は、水温上昇よりも人による汚染の影響が大きいと、ガイドさんは語ってくれました。
コロナの間でサンゴや魚の生態系が復活して生物相が豊かになっているのは、タイのシミラン諸島、インドネシアのコモド島周辺、モルディブなどからも報告されています。
グレートバリアリーフ日帰りダイビングまとめ
大型乗合船で行くケアンズからのデイトリップダイビングは、ダイバーだけでなく、体験ダイビング、シュノーケリングの人も一緒なので、家族旅行でも楽しめそうです。
2本のダイビングでは、元気なサンゴが復活していて、たくさんの種類の魚を見ることができました。流れはほとんどなく、初心者でも安心して楽しめるポイントでした。
日本とは違って、水中の物に触ることはできません。岩につかまったり着底するのもダメなので、物足りなく感じる人がいるかもしれません。
日本からケアンズまでは直行便が飛んでいるので、行くのは簡単。ぜひグレートバリアリーフの海で、映画「ファインディングニモ」の世界を体験してみてください。