10月の体育の日の連休を利用して沖縄県の離島、西表島でダイビングしてきたのでご紹介します。
外洋のダイナミックな海、マンタやロウニンアジなどの大物との出会いなどがダイバーに人気の西表島。
西表島でダイビング、というと“夏!”のイメージがあるかもしれません。
ですが10月初旬の西表島は、最高気温30℃、最低気温25℃、水温28℃と、まだまだ快適にダイビングできる気候。
観光はオフシーズンに入り、観光客もダイバーも減ってきて、のんびりとした西表島らしい雰囲気に戻ってます。
風向きが北風に変わってきて海が荒れやすく遠出できなくなりますが、その代りに、近い・浅い・穏やかなポイントで、のんびりまったりダイビングを楽しめます。
水中はマクロ天国で、大物だけじゃない西表島の海の奥深さを実感できました。
初心者もいっしょにダイビングしましたが、不安を感じることなく楽しめたって、喜んでました。
沖縄県の離島は上級者向き、なんてイメージを持ってる方、まずはオフシーズンに訪れてみませんか?
西表島へダイビングに行きましょう!
西表島へは石垣島からフェリーで向かいますが、船が着く港は、島の北側(西部)の「上原港」、島の南側(東部)の「大原港」の2か所。
集落やダイビングサービス、観光施設なども、これらの港を中心に広がっています。
ダイビングポイントや陸上で楽しむ施設が多くておすすめなのは、どちらかというと上原。ですが、北風が吹いて海が荒れると、上原のフェリーは欠航になってしまい、大原からバスで移動することになるデメリットがあります。
ダイビングショップは、石垣島は200軒前後あるのに対し、西表島は20軒前後。
ショップが少ないので他店とポイントがかぶったり、海の中で他ショップのダイバートすれ違ったりしないのも魅力の一つです。
ダイバーも少ないため、海が守られていて、一面にサンゴが広がるエリアも少なくありません。
マンタやロウニンアジなどの大物、バラクーダやグルクンなどの魚群に出会えるダイナミックさも人気。
日本で見られる6種のクマノミ全部、西表島で見られるそうです。
秘境の白浜地区に滞在
今回は、西表島の陸路で行ける一番西にあるエリア、白浜地区に滞在しました。2軒の宿と、商店やカフェが数件あるだけの小さな集落です。
那覇から行くにも、石垣島まで飛行機 → バスで港へ → フェリーで西表島の上原港 → バスで宿まで、と乗り継いで4時間以上かかりますが、はるばる訪れる秘境感がたまりません。
ダイバーや釣り人以外の観光客がほとんどいなく、都会を離れてのんびり流れる時間に日々のストレスも薄れ、何度行っても癒されます。
「ダイブラティーク」でダイビング
ダイビングは、白浜地区にある「ダイブラティーク」さんにお世話になりました。
ゲストは少人数制でアットホームな雰囲気。
深いエリアにはあまり行かず、浅めの所でゆったり時間を取ってくれ、のんびりスタイルでダイビングできるショップです。
カメラ派ダイバーに人気
オーナーが撮る魅力的な水中写真を、ゲストでも真似できるように紹介してくれるので、
カメラ派ダイバーに人気です。
潜る前のポイント説明では、オーナーの写真を使って生き物を紹介してくれます。
写真のお手本を見てから実際に撮影できので、書道の練習のような感覚で取り組め、写真も上達したように感じました。
1人1生物を独占して撮影させてもらえる
水中では、ゲスト1人ごとに1生物ずつ観察させてもらえるのも嬉しいサービスです。
交代で見るために長い時間待ったり、1つの生物をたくさんのゲストで見たりすることはほとんどありません。
そのため、じっくり撮影できますし、カメラを持たない人でも遠慮することなく楽しめます。
ダイブラティークでの1日の流れ
ダイブラティークでダイビングする場合の、1日の流れをご紹介します。
西表島は、これ似たスタイルのダイビングショップが多いです。
8:00 白浜港のボートに集合し器材をセットアップして出航
白浜港のボートに直接集合です。
港に更衣室はないので、水着とラッシュガードなど、すぐにウェットスーツを着られるような服装で、船酔いの薬「アネロン」を飲んで出かけました。
白浜地区の宿から港までは、歩いて3分くらい。重器材やカメラなどは、スタッフが車で運んでくれます。
港に着いた人から順に乗船。ボートの上で器材をセッティングし、ウェットスーツを着ます。
定員25名の大型ボートは安定感があり、休憩や器材セッティング中も揺れは気になりません。
温水シャワーとトイレがあり、女性も安心して利用できます。
出発すると3本潜り終わるまで港に戻らないため、忘れ物がないかよく確認して出発です。
8:30-9:30 1本目のダイビング
潜る前には、毎回ポイント説明のブリーフィングがあります。
見られる生物や、写真の撮り方についても、念入りに説明してくれます。
その他、器材セッティングや海の中のことなど、分からないことは親切に教えてくれます。
船を停めるアンカーリングスタイルなので、潜行が苦手な人でもロープを使って自分のペースで潜れます。
暖かい飲み物とおやつをいただきながら休憩
海から上がってきたら、次のダイビングのためにタンク交換をして、水面休息。
北風が吹くと寒いので、この時期はウインドブレーカーやボートコートが必要です。
船には、冷たい飲み物・温かい飲み物・お菓子・バナナなどが用意されていて、自由に飲食できます。
休憩中は、スタッフや他のゲストと海の話で盛り上がり、あっという間に時間が過ぎました。
9:30-10:30 2本目のダイビング
ブリーフィングを聞いた後、エントリーします。
2本目は遠出していることが多いです。
ボートの上でスタッフ手作りのランチを味わう
2本目から上がってきたら、また次のダイビングのためにタンク交換をしてから、お楽しみの昼食!
ランチは、船の上でスタッフが調理してくれる珍しいスタイルです。
タコライスや沖縄そばなど、毎日違う手作り料理を食べられて、ご飯も楽しみの一つでした。この時期は熱々の汁物が出て、北風で冷えた身体を温めてくれました。
13:00-14:00 3本目のダイビング
ブリーフィングを聞いた後、エントリーします。
3本目は、港近くのポイントになることが多いです。
14:30 港に戻って解散
3本目のダイビングが終了すると、10分くらいで白浜港に戻ります。
次の日潜らない人は、港に戻る移動中に機材をまとめて、持って帰る準備。器材は宿で水洗いします。
次の日潜る人は、器材はボートに置いて帰ります。
ボートが港に戻るといったん解散。宿に戻って、シャワーを浴びて着替えました。
17:00-18:00 ショップにてログ付け
アフターダイブは再びショップに集合して、生ビールや泡盛を飲みながらその日を振り返るログ付け。
希望者は、撮影した写真を大型テレビに映して、潜り方や写真の撮り方などのアドバイスをもらえました。
ログ付けに参加しても夕食の時間までには終わるので、次の日のダイビングに備えてしっかり休めます。
白浜地区から10月初旬の2日間のダイビングログ
西表島の白浜港から10月初旬にダイビングした、2日間のログを紹介します。
北風が吹いていたので、潜ったのは島の西側や湾内のポイント。
どのポイントも浅めで明るく、流れはありませんでした。
初日の1本目:ミダラ浜(美田良浜)でクサイロモウミウシを観察
水深:最大9.6m、平均7.6m
見た魚:クサイロモウミウシ、ミヤコイシモチ、ギンガハゼ
港から10分以内の近場ポイント。
強めの北風が吹いていましたが、島の西側なので風の影響はなく、穏やかな水中でマクロな生物を楽しみました。
生き物はいそうにない砂地の藻。近づいてみると、5mmくらいのクサイロモウミウシが何匹も隠れています。今人気のマクロ生物です。
真正面から見ると羊のように見えるウミウシということで、緑の羊を見つめたくて色々な角度から必死に観察しました。
白い砂地に黄色いギンガハゼは目立つので、見つけるのは簡単。ですが、近寄って写真撮るのはなかなか難しい。
初日の2本目:網取はガーデンイールがたくさん
水深:最大14.7m、平均9.3m
見た魚:ガーデンイール(チンアナゴ)、シャコ、アカネハナダイ、アカヒゲカクレエビ、ハマクマノミ
2本目は、西表島西端に近い網取。道路はなく、船でしかアクセスできない秘境です。
真っ白な砂地にいる、数えきれないほどのガーデンイールに圧倒されました。
わくわくして近つきますが、ゆっくり引っ込んでしまいます。
ガーデンイールがどんな顔をしているのか間近で見たい、と思いつつ、ゲストみんなで遠くからそっと見つめました。
ぽつぽつある岩をよく見ると、スカシテンジクダイの向こうにアカヒゲカクレエビが。アカネハナダイやケラマハナダイも色鮮やかに舞っていました。
初日の3本目:Gスポットでアカネハナゴイの群れに見とれた
水深:最大19.7m、平均6.6m
見た魚:スミレナガハナダイ、ジョーフィッシュ、アカネハナダイ、オオメハゼ
網取から少し北に戻った舟浮湾にあるダイブサイト。
エントリーしてすぐの根では、色鮮やかなサンゴの上をたくさんのアカネハナゴイが泳いでいて、まさに海の楽園です。
カメラを向けるのも忘れ、思わず見とれてしまいます。
ガレ場では、ジョーフィッシュが巣穴を出たり入ったり。
海の青さを閉じ込めた宝石のような大きな目に、太陽の光が当たってキラキラと輝いていました。
2日目の1本目:T’sエリアは汽水域でマンジュウイシモチが名物
水深:最大8.4m、平均2.9m
見た魚:マンジュウイシモチ、ネオンテンジクダイ、オイランハゼ、オリオンスズメダイ、ギンガハゼ
舟浮湾の奥の方の汽水域。水深が浅めなので、大潮の満潮時に潜りやすいポイントです。
川から流れてくる豊富な栄養のおかげで、たくさんの種類と数の魚がいます。川の多い西表ならではの貴重な環境と言えます。
ポイントまでは、港を出て10分ほどで到着。
白い下半身に赤い点があり、イチゴ柄のパンツを履いているように見えることから「イチゴパンツ」と呼ばれるマンジュウイシモチは、ダイバーから大人気。
なんと幼魚は白色も赤い点もないので、ノーパンなんだそうです。
枝サンゴの間をぴょこぴょこ動く姿は、かわいらしくて見ていて飽きません。
2日目の2本目:ハナゴイの根では生息環境で体色の違うハダカハオコゼに出会った
水深:最大21.0m、平均11.7m
見た魚:アカネハナゴイ、キンギョハナダイ、ジョーフィッシュ、ハダカハオコゼ、ナデシコカクレエビ
舟浮湾の内離島と外離島の間、南西側の位置にあるので、海が荒れているときや北風の季節でも潜りやすいポイント。
ポイント名通り、大きな根のまわりにハナゴイやキンギョハナダイが群れています。
スカシテンジクダイなどの小魚も岩にまとわりついていて、大きなユカタハタが時々アタックしていました。
また、大きさも数も圧倒的なバラの花のようなサンゴが見事で、西表のサンゴのあふれる生命力を実感できました。
ハダカハオコゼは、サンゴに住む子は黄色、砂地に住む子は白と、住む場所で色が違うのが不思議です。
2日目の3本目:外離れ南
水深:最大12.0m、平均6.7m、流れ:なし
見た魚:トウアカクマノミ、ハナビラクマノミ
舟浮湾のほぼ出口、外離れ島の南沖にあるダイビングポイント。
深場に下りずにリーフトップ付近を楽しみました。
白いイソギンチャクにいる、大小2匹のトウアカクマノミが主役です。
白化したイソギンチャクは痛々しいですが、クマノミのオレンジを色鮮やかに引き立てていました。根の上で、そこだけスポットライトが当たっているような存在感でした。
夢中になってカメラを向けていると、大きいクマノミから、巣を守ろうと必死の攻撃を受けました。
まとめ
10月の西表島ダイビングは、北風の影響で代表的な大物ポイントには行けませんでしたが、近場でのんびりマクロ三昧のダイビングを楽しめました。
シーズンオフになりゲストの数も少ないので、マクロ好きな人はもちろん、大勢のゲストに着いて行けるか心配な人にもおすすめです。
また、船酔いしやすい人、流れの強い海は疲れてしまう人でも安全に楽しめますよ。
汽水域や、マングローブダイビングなど、西表島ならではの環境も体験してみてください。
日本にいる6種類のクマノミ全部が西表島で見られるそうです。6種類全部を探してみるのも楽しそうです。