上の写真、中央の2人が大量のエアを出していますよね、小柄な女性なんですけど。
不思議に思って聞いてみると、講習が終わって初めてのファンダイビングだったそう。
ダイビング中のエアの消費量は、初心者の方を含む多くのダイバーの悩みの1つです。
エアの消費量が多いと、ダイビング時間が短くなり、バディや他のダイバーに迷惑をかけてしまうこともありますよね。
ですが、ダイビングならではの、効率良く呼吸できない原因もあるようです。
こちらの記事では、ダイビングで呼吸の効率が悪い原因と、エア持ちをよくするための呼吸のコツをご紹介します。
少し意識するだけでも、エア持ちがグンとよくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
口呼吸で吸う空気量は鼻呼吸の半分以下?
口呼吸で吸う空気量は鼻呼吸の半分以下というのは、21年4月21日にNHK「あさイチ」で偶然見た情報。
ある個人で、鼻呼吸と口呼吸で1分間に吸い込む息の量を測ったところ、下記の結果だったそうです。
- 鼻呼吸:7.59リットル
- 口呼吸:3.00リットル
口呼吸では鼻呼吸の半分しか換気できていないのです。
その原因は横隔膜が動く量の違いのようで、エコー検査で横隔膜の移動量を測った結果、口呼吸は、鼻呼吸の6割程度しか横隔膜が動いていないことが分かりました。
- 鼻呼吸:17.2mm移動
- 口呼吸:10.6mm移動
これは、レギュレーターをくわえて口呼吸するダイバーにとっては大問題。
呼吸とは、二酸化炭素を排出して、酸素を取り込むこと。
無意識に口呼吸しているだけでは、うまく二酸化炭素を排出できてなく、効率的に酸素を取り込めていない、ということになります。
ただでさえ不利な口呼吸をしているわけなので、ダイバーにとって、呼吸を意識するのは重要だといえます。
では、エア持ちよく呼吸するには何を意識したらよいのか、そのポイントを5点ご紹介します。
大きくゆっくり呼吸するとエア持ちが良くなる
ダイビングの講習時や初心者の頃に、「呼吸を止めないことが大切」と言われ続けていたダイバーも多いと思います。
すると、呼吸を意識するあまり、結果として浅くて頻繁な呼吸をしてしまう方が多くいます。
また、エアの消費を抑えようと、呼吸をあえて小さくするダイバーの方がいますが、それは逆効果です。かえってエアの消費量を増やすので絶対にやめましょう。
浅い呼吸だと肺の中の一部の空気しか排出できず、二酸化炭素が残ってしまいます。
肺に二酸化炭素が残っていると苦しくなってしまい、余計に呼吸の回数が増えてしまうのです。
これを解消するためには、大きくゆっくり呼吸をすること。そして、吸うことより吐くことを意識し、肺の中の空気をしっかりと出し切ることが大切です。しっかりと排気されれば、自然とたくさんの空気が肺に流れ込んできます。
呼吸ごとに肺の空気を吐ききるとエア持ちが良くなる
肺の中の二酸化炭素を出して、酸素を取り込む、という点からは、吸うことよりも、吐くことが重要になってきます。
肺の最大容量は変わりません。排出して空けた容量分しか、次の空気を取り込むことはできません。
常に、「肺の空気を吐ききってから、吸う」という手順を意識していてください。
息を吐こうとすると沈んでしまう場合は、BCDで浮力調整をしましょう。
吐ききると沈んでしまう場合は、ポン、ポン、と軽くBCDに空気を入れて、中性浮力を調整しましょう。
BCDいっぱいにエアを入れても沈む場合は、ウエイトが重すぎです。
「1呼吸ごとに肺の空気を吐ききる」という点からも、吐ききらないと微妙に身体が浮きがちになるくらいの中性浮力がちょうど良いでしょう。
適正ウエイトでダイビングするとエア持ちが良くなる
エア持ち良くする呼吸をするためには、呼吸そのものの前に、適正なウエイトを装着することも大切です。
オーバーウエイトになると、体が沈みがちになります。
BCDにエアを多く入れれば解決すると思われがちですが、単純に重たいものを身に着けて行動すれば、体は疲れやすくなりますよね。
オーバーウエイトで潜っていると息が上がってしまい、結果としてエアの消費量が増えてしまうのです。
また、ウエイトが軽すぎる場合、体が浮きがちになってしまいます。浮いてしまいそうな身体を無理に整えようとすると無駄な動きも増え、エアの消費量が増えてしまいます。
このため、適正な重さのウエイトは、エア持ち良く呼吸するための第一歩となります。
初心者の頃に測ったウエイトの重さのままという方もいるかもしれません。
体型の変化はもちろん、ウェットスーツの劣化や、器材の変更によっても適正ウエイトは違ってきます。
時々適正ウエイトをチェックしてみましょう。
リラックスしてダイビングできるとエア持ち良くなる
楽しいダイビングとはいえ、初心者ダイバーの方は何かと緊張してしまいがちです。
陸上でもそうですが、緊張してドキドキすれば呼吸は早くなります。ダイビング中に呼吸が早くなれば、当然エアの消費量も多くなってしまいます。
そのため、ダイビング中はなるべくリラックスすることが大切です。もし不安なことがある場合は、ブリーフィング時にガイドや同行者にしっかりと確認しておきましょう。
特に潜行や耳抜きが苦手な人は、序盤でつまずいてしまい、そのまま後を引きずりやすいです。
リフレッシュコースで苦手なスキルの練習をすることや、ガイドとマンツーマンで潜ることも、不安を解消することも1つの方法です。
もし、水中で緊張していることに気が付いたら、一度止まって深呼吸をしましょう。緊張がほどければ、自然と呼吸も整うはずです。
無駄な動きをなくすとエア持ちが良くなる
陸上で激しい運動をすれば、呼吸が早くなります。当然ながら水中でも激しい動きをすれば呼吸が早くなり、エアの消費量が増えてしまいます。
そのため、なるべく無駄な動きをしないことがエア持ち良く呼吸するコツになります。
特に初心者の方に多いのが、平泳ぎの時のように手で水をかいて進もうとすることです。手を動かすとエアの消費量が大幅に増えるので注意してください。
フィンキックは基本的に大きくゆっくりと動かしましょう。あおり脚をするなど、状況に応じたフィンキックをすることも効果的です。
また、大物などに遭遇した時に、興奮して追いかけるような行為もやめましょう。
ダッシュをすれば一気にエアの消費量も増えてしまいます。エアの消費が増えるだけでなく、バディやガイドとはぐれる可能性のある行為ですので、注意してください。
まとめ
エア持ちのよい呼吸をするコツをご紹介しました。
エア持ちを良くするためには、呼吸そのものだけに目が行ってしまいがちですが、呼吸に関するさまざまな要因に目を向けることが大切です。
エア持ちをよくするポイントは、次の5点。
- 大きくゆっくり呼吸する
- 呼吸ごとに肺の空気を吐ききる
- 適正ウエイトでダイビングする
- リラックスしてダイビングする
- 無駄な動きをなくす(手は動かさない)
今回ご紹介した5点を意識するだけでも、格段にエアの持ちがよくなるはずです。次のダイビングから意識してみてくださいね。