ダイビング中に体が浮いてしまって、思うように楽しめなかった! バディやグループからはぐれそうになった! なんてお悩み、ありませんか? 初心者でなくても、こんな経験をするダイバーは少なくないようです
体が浮いてしまう(プラス浮力の状態になる)のにはいくつかの要因があり、それらを解決すると、より快適にダイビングできるようになります
この記事では、ダイビング中にどうして浮いてしまうのか、浮いてしまった場合にどう対処したら良いかをご説明します。
無意識に上向きにフィンキックをしているので浮いてしまう
足から潜っていく形のフィートファースト潜降している時に起こることが多いのですが、バランスを取ろうとして無意識のうちに足を動かしてしまことがあります。体が立った状態でフィンをつけて足を動かしているので、潜降ではなく、水面に向かって進んでいる状態になるのでNGです。
潜降時に多少バランスが崩れてたとしも、マスクやレギュレーターなどで視界と呼吸はしっかり確保されていますので、意識して足の動きを止めて、ゆっくりと体が沈んでいく状態を楽しんでください。
また、ダイビング中に気づいたら浮いていた、という際にフィンキックすると、上体が斜め上に向いた状態でフィンキック→斜め上向けに漕いでいることになり、さらに浮上してしまいます。意識して頭を下げて、下向きにフィンキックしましょう。
フィンキックもやり方によっては、まっすぐ進むだけでなく、下向きに進む、上向きに進む、止まる、後ろ向きに進むなど自在にできます。意識して足を動かして、練習してみて下さい。
コントロールできずに浮き始めると浮上を止めるのが難しい
深い所から浅い所に移動すると、水圧が下がり浮力が高まります。このため、浮いてゆくにつれて、BCDに入れた空気やウエットスーツの浮力がどんどん高まっていきます。
早目に気付いたら、下向きにフィンキックして浮上を止めることができますが、気付くのが遅いと、浮力が高くなりすぎてフィンキックだけで沈むのは難しくなり、どんどん浮いてしまいます。このケースが最も多いように思います。
ゆっくり浮上してみんなから離れてゆくような場合は、落ち着いてBCDの空気を抜いてください。それだけで、みんなの元にもどれるはず。
BCDのエアを抜く際の体勢は浮上しやすい
BCDの空気を抜く際、上体を起こして、肩を最も高くして、インフレーターホースを上に上げて、排気ボタンを押しますよね。
この体勢は、最初に説明したフィートファースト潜降しているのと同じ。この体勢でフィンキックすると、浮いてしまうのです。インフレーターホースを上げて水面に向かって泳いでいく人、時々見ますよ。
BCDから排気する際には、フィンキックを止めましょう。
また、肩からぶら下がっている紐を引くと、パージバルブが開いて空気を抜けます。簡単にBCDから排気できるので、この方法を習得するのをおすすめします。
この方法をイントラが教えてくれないのは、排気しているのを把握しづらいからです。インフレーター上げていると、空気抜いてる、って分かりやすいですが、紐引っ張って沈もうとしているの、他の人には分かりにくいのです。
水中で排気していることをいちいちイントラに知らせる必要はないでしょう(音で気づくかも?)。なので本当に、肩のひもを引っ張ってパージバルブを開いて、BCDから排気できるようになることを、特におすすめします。
ウエイトが軽いのも浮いてしまう原因の一つ
いつも同じ重さのウエイトを付けている場合、その重さが適正ウエイトではなく、軽すぎる場合もあるかもしれません。ウエイトが軽いと、BCDの空気を抜いても中性浮力を取ることができなくなってしまいます。
特に、いつもと違う装備・器材でダイビングする際には、潜降する前に中性浮力の確認を行うのが良いでしょう。
ウエットスーツの浮力に合ったウエイトを付けよう
ウエットスーツの生地には細かな気泡があるため浮力があります。この浮力は生地の厚さやスーツの形、状態によって違ってくるため、適正ウエイトはウエットスーツごとに違ってきます。
沖縄や海外リゾートなど暖かい海で使われる3㎜のウエットと、伊豆や紀伊半島など国内で使われる5㎜のウエットでは、5㎜のほうが浮力が高くなります。6㎜だったウエットスーツを長期間使用して、3㎜の厚さにまでへたってきた場合は、新品の時より少ないウエイトで十分でしょう。
また、ワンピース、ロングジョンとジャケットのツーピースの違いも浮力や適正ウエイトに影響します。
ウエットスーツの浮力にあったウエイトを付けましょう。
タンクの材質はスチールか? アルミか?
ダイビングで使うタンクにはスチール製とアルミ製の2種類があります。
アルミの方が比重が軽くタンクの体積も大きいため、スチール製のタンクに比べて浮きます。
同じ器材を使っていれば、アルミ製タンクで潜る際にはスチールタンクの時より2㎏ほどウエイトを増やして潜るようにしましょう。
タンクの空気が減ると浮き気味になる
タンク内の空気にも重さがあります(10Lタンクでは約2kg)。空気を吸うことにより重量を消費すると、タンク内の空気はダイビング前よりも軽くなります。
特にアルミ製のタンクは、空気を使い切った際に浮くようにできているので、たくさんエアーを消費してしまったダイビングの後半には、体が浮きやすくなります。
BCDの空気を抜いても、ダイビング後半にどうしても体が浮き上がってしまう、安全停止中ずっと頭を下にして下向きにフィンキックしていて疲れた、というようなことが起こるかもしれません。
これらはタンクの空気がなくなったことが原因です。ダイビング後半でどうしても浮いてしまう場合は、ウエイトを1kg足しましょう。
その海域の塩分濃度でも浮力や適性ウエイトが変わってくる
プールの水と海では、海のほうが浮きます。
同じ海でも、塩分濃度によって浮力が変わります。開かれた太平洋、川の水が流れ込む伊豆半島、陸地に囲まれたカリブ海や紅海。陸上の地形条件の影響で塩分濃度が違ってきます。すると、沈めない、沈みやすいのような影響が出ます。
いつもと違う海域でダビングする際は、水面でいったん止まって、そのウエイトがその地域の塩分濃度に合っているかチェックしましょう。
呼吸が荒くなるほど疲れていると潜りにくくなる
疲れが直接浮力を起こすわけではありません。疲れによって呼吸が荒くなる→肺の中の空気量が増えた状態が続く→浮く ということです。
ダイビング中の浮力は自分の呼吸でも調整できます。BCDへの空気の出し入れでも浮力調整できますが、肺の中の空気も重要な浮力調整の要素となります。
エントリーまでの間に重いタンクを背負って歩いたり、潜降ポイントまで泳いでいる間に呼吸が荒れるほど疲れてしまった場合は、肺の空気を完全に吐き出せずにうまく潜降することができないかもしれません。そんな時は、インストラクターやバディに声をかけて少し休憩をし、落ち着いて呼吸を整えてから潜るようにしましょう。グループのメンバーがどんどん潜っていってるから早く潜らなきゃ!と焦る必要はありません。焦るとさらに呼吸が速くなるかもしれません。
ちなみに呼吸が早くなってしまうことはダイビング中にも起こり得ます。そんな場合も躊躇せずにインストラクターやバディに伝えて、その場に留まって呼吸を整えるようにしましょう。
最後に
ダイビングの際に体が浮いてしまう要因について解説してきました。
最後になりますが、ダイビングのログ(記録)は毎回つけていますか? あなたがダイビングした時の器材の詳細、タンクの材質と容量、ウエイトの重さ、海のコンディションなどを記録しておくことで、似たような状況でダイビングする際のウエイト等、準備の参考にできます。
地味ですがログブックの情報は役に立つので、忘れずに記録を残しましょう。