女性ダイバー特有の悩みのひとつにある妊娠。
妊娠していてお腹も大きくなればダイビングできない!というのは分かるけど、妊娠に気づかずに潜ってしまったけど大丈夫?妊娠も初期なら潜れるの?お腹の赤ちゃんに影響はあるの?産後はいつから潜っていいの?など女性ダイバー特有の疑問に関して、わかりやすく説明していきます。
妊娠中のダイビングは赤ちゃんに悪影響のため絶対にダメ!!
結論から言いますと、妊娠中のダイビングはNGです。妊娠が分った時点で潜るのはやめておきましょう。
妊娠の時期によっては、浅くて短い時間のダイビングであればあまり影響ないかもしれませんが、妊娠中の安全な潜り方は分かっていません。
妊娠すると、体の組織によっては血液の流れが悪くなっています。また妊娠によってむくみやすくなる人もいます。
このため、妊娠中の人のダイビングは、減圧症の発症リスクが高まると考えられます。
重い減圧症になってしまうと、チャンバーに入って高気圧酸素治療を受けることになります。
ですが、妊娠中の高気圧酸素治療は禁忌。高圧酸素は胎児に先天性異常を発生させたり、未熟児網膜症と同様の異常を起こす可能性があるためです。
妊娠中は何が起こるかわかりません。一生後悔しないためにも、妊娠中のダイビングは控えましょう。
減圧症とは?
減圧症については、最初のCカード講習の学科に含まれていますが、理解できなかった人もいるかもしれません。
水中で呼吸をすると、酸素だけでなく窒素も体に溶け込みますが、溶けることができる量を超えると、泡として体内に現れます。こうした窒素の気泡は、吐く息とともにゆっくり体から排出されます。
窒素の泡が残った状態で水中から浮上すると、圧力が下がるため気泡は大きくなり、血管や体の組織を傷つけたり、血管を詰まらせたりします。これが減圧症です。気泡が頭で膨らんだら、脳梗塞のような状態に…
妊娠に気づかない期間のダイビングはぎりぎり大丈夫
「妊娠に気づかずにいつも通り潜ってしまった」という話はよく耳にします。
この時期のダイビングが原因で、赤ちゃんに何らかの異常が見つかったり、未熟児が生まれたことは今までに無く、妊娠初期であればダイビングがお腹の赤ちゃんに及ぼす影響は非常に少ないといわれています。
ですので、妊娠に気づかずに潜ってしまったとしても、それほど神経質になる必要はありません。
次の生理予定日までが、ぎりぎりダイビングOKな期間、と思っておきましょう。
妊娠中にダイビングしたらお腹の赤ちゃんはどうなる?
そう言われても、生まれたら赤ちゃんのお世話でダイビングどころじゃなくなるだろうし、やっと安定期に入ったし、潜りおさめに行きたい!! なんて思わないために、妊娠中にダイビングしたら、おなかの赤ちゃんにどういう影響が出るか、知っておきましょう。
羊水や胎盤を介して窒素が赤ちゃんに届く
子宮内の胎児は羊水に包まれ、胎盤を通して栄養をもらっています。
胎盤にはフィルターのような働きがあり、通過する物質と通過しない物質があります。たとえばお母さんの血液はそのまま胎児に流れ込むことはありませんし、気泡も胎盤を通過できません。
しかし、溶けた酸素や窒素は胎盤を介して胎児に運ばれます。
妊娠中にダイビングすると、赤ちゃんの体に窒素が溶け込み、浮上時に気泡ができる可能性があります。赤ちゃんの体内に気泡ができると、胎児減圧症が発生してしまうことになります。
症状としては、身体の一部に成長できない箇所が生じるなど重大な障害が現れる可能性があります。
ちなみに気泡は、胎盤や羊水中にできることも分かっています。
赤ちゃんは肺で呼吸しないので気泡を排出できない
前に説明したように、大人は体内にできた気泡を肺から排出することで、減圧症を防止しています。
一方、お腹の中の赤ちゃんは肺で呼吸しないため、気泡を含んだ血液の多くは肺の方に流れず、動脈管を通して全身に流れてしまいます。
呼吸をしない赤ちゃんには気泡の排出能力がないため、大きなダメージが残る可能性があるのです。
妊娠の可能性がある時はいつからダイビングを控える?
赤ちゃんを作ろうとしている方は、予定日に生理がこなかった時にダイビングを中止しましょう。
もっと慎重でいたいという方は、受精卵の着床時期も考慮して、次の生理予定日の一週間前からダイビングを控えるといいでしょう。
出産後のダイビングはいつからでもOK!!
妊娠期間中のダイビングは無理ですが、出産後は問題ありません。
ただ、出産はお母さんの体にかなりの負担がかかるので、産後一ヶ月は安静にすることが勧められています。
生まれてすぐは、出産によって体力が落ちていたり、赤ちゃんのお世話で疲れがたまりますので、ダイビングなんて考えられないというのが実際のところ。
体調が回復して、軽い運動ができるようになればダイビングをしても問題ないでしょう。
心配な場合は、医師に相談することをおすすめします。
まとめ
妊娠中にダイビングをすると、お母さんダイバーが吸った酸素や窒素は胎盤を通して赤ちゃんにも届きます。
体の中に窒素の気泡ができたとしても、呼吸しない赤ちゃんは泡を排出できないので、胎児減圧症になり、体に障害ができてしまう可能性があります。
妊娠中には、絶対にダイビングをしてはいけません。
妊娠に気づかない時期のダイビングは、お腹の赤ちゃんに及ぼす影響は非常に少ないといわれています。気づかずにダイビングしてしまっても、不安に思わないでください。
次の生理時期までが、お腹に赤ちゃんのいるママにとってぎりぎりダイビングして大丈夫な期間です。
ダイビングを趣味や気分転換にしている人は、妊娠中潜れなくなることに対して苦痛やストレスを感じるかもしれません。
でも、ダイビングは子供が生まれてからでもできます。いつか親子で潜れること楽しみに、元気な赤ちゃんを産むことを最優先にしましょうね。